ブラック・ダイヤモンド スポットライトビィビィ 【過去に使用したことのあるテントの話】

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過去使用したことのあるテントの話。

テントと言うよりは寝袋の発展した様なもので日本ではあまり馴染みがないビィビィザックというテントの種類を使ったことがあります。

欧米では種類も多く一般的なテントと同様に認知度も高いのですが日本では最近少しずつユーザーが増えつつもあるようですがまだまだ知られていないテントのジャンルであります。

一番近いアイテムと言えば、シュラフカバーを想像していただければ良いかと思います。そのシュラフカバーを防水にしてキャンプや野営に利用するわけでありますが、当然のことながら一般的なテントと比べると狭いです。基本的に何とかシュラフとマットを中に入れて寝るだけのスペースしかありません。

このような狭い、というデメリットに対して、メリットとしてはコンパクトで軽量、という点が挙げられます。軽いもので約800gほどから1.5kg前後のものまでありますが、その形状や工夫なども各社各様であります。

シンプルなものは、ほとんどシュラフと変わりない形状ですが、凝ったものだと頭の部分に空間を作る為金属ポール1~3本ほど使用してある程度のスペースを確保してます。これが結構、中に入ったときの精神的な圧迫感を軽減させるわけで、基本は入って寝るだけなんですが、寝ながらスマホで動画を見たり、携帯食を食べたりする程度の空間は確保されるわけです。

私がはじめて選んだビィビィザックは、ブラックダイヤモンドのスポットライトビィビィ(Spotlight Bivy)とうものでした。

重量は約580g  全長約235cm  最大の高さ約50cm で頭の部分に金属ポールを1本使用して空間を確保しています。

上記スペックからもおわかりの通り、非常に軽量でシュラフと変わりない、というか冬物のシュラフよりも軽いのでミニマムなパッキングで出かける時は非常によろしいのです。中に入った時もシュラフカバーの延長線上という割り切りで考えた場合、それなりに空間が確保され快適です。

しかし、実際に使用してみて幾つかの決定的な欠点がありました。

1) 雨に弱い。
2)金属ポールと地面との設置部分に当たる素材がすぐに穴が空く。

この2点であります。

雨に弱い、という事は、素材が防水性でない、という事では無く、このビィビィの構造上の問題に関わっております。

ある夏、北海道の某キャンプ場で設営したときの事でした。
ビィビィ設営時は天気も悪くなく、いままでタープをセットで設営していたのですがこの時はタープ無しで設営しました。

ところが夜半過ぎから雨が降り出し、その雨脚が次第に強くなりました。夜中2時過ぎくらいにビィビィ内に少し浸水を感じました。当初は内部の結露によるものだと思いそのまま寝てしまいました。しばらくしてシュラフ内が濡れて来たことを知り灯りをつけて確認したら、な、なんと・・ビィビィ内が海になっているではありませんか???

これには驚きました。購入時にシリコンで縫い目等の防水処理はしてたのですが、一体どっから浸水したのか。しばらく観察していたら水の浸入経路が判明しました。

出入り口のジッパーの部分から浸入でありました。

このビィビィのジッパーは止水ジッパーでは無く、ごく一般的なジッパーで周辺部分は普通の布なのです。もちろん外側には雨よけのフラップがついているのですが、コレがクセもので、ポールを使い頭部部分に立体性を持たせているわけですが、出入り口のジッパーはこの曲線に沿ってありまして、そこにも雨よけのフラップは当然ついているのですが、雨がビィビィの上部から側面を伝って流れる時にこの曲線を伝ってフラップの内側に浸入し、そしてジッパー周囲の布部分から内部に侵入してきます。

小雨程度なら恐らく問題は無いと思いますが、私の体験した時のような雨、つまり強い雨脚で長時間に渡って降り続けられるとこの現象が発生します。

雨の少ない場所で作られたので日本の様な湿潤で季節によっては雨の多い環境では必ずタープとの併用が必要となってきます。もし単体として使用するならば、屋根のある場所での使用か、ジッパーを止水ジッパーに交換するべきでしょう。

さて、もう一つの欠点の、素材に穴が空いてしまう事であります。これは使用する金属ポールと幕体の生地との関係にあります。このビィビィのポールは外側ではなく、ビィビィ内部に設置します。問題はそのポールの両端の部分にあります。もちろん金属部分が直接幕体の生地に接するわけでは無く、樹脂製の受け皿というかストッパーに収まるようになっております。

普通に地面の上で使用する場合に何ら問題はありません。

私は一度、標高の高い山で、岩の多い部分での設営をした時の事でした。

平らな岩の上に設置して翌日、撤収する時に発見しました。底に2箇所穴があいてました。
ちょうどポールの端の樹脂製の受け皿の下部分の幕体に穴があいてしまっておりました。つまり、上から、ポール→樹脂製の受け皿→幕体→岩 という順序で重ねっていました。なぜ、穴があいたのか? 、問う疑問があります。

まず、このビィビィの設置ですが、岩の上という条件でペグを使えない場所でありました。その為ロープを大きめの岩などに結びつけ風などで動かないように固定しました。「固定」と言いましてもペグで地面に設置する時とは異なりかなり「遊び」というか「動いてしまう」状況でした。

つまり、この「微妙な動き」と例えば春眠中のちょっとした寝返りの様な動作でもビィビィそのものは動いてしまいます。その為、ビィビィ接地面と下の岩との間で摩擦が何度も発生して翌朝には穴が出来ていた、ということでした。地面以外の場所での使用という事で、使用する側の問題であるかもしれません。しかし、屋外で場合によっては地面で無い場所での使用も想定してのビィビィであってほしいと思います。

上記の様な状況での使用の場合、この摩擦の発生する接地面部分に何か緩衝材を入れるか、幕体に別の補強素材を付け足したり、という事が必要となってくると思います。

以上、私の体験から得たこのビィビィの欠点であります。

いずれにせよ、総じてビィビィを使用する場合、例えば40リットル以上のザックなど当然中に入りませんのでビィビィ外に置くことになります。その為タープとの併用は避けられないと思います。
ビィビィそのものが軽量であったとしてもタープの重量が加算されるので、最近1キロ前後の軽量テントが増えてきた現状を考えても特殊な環境での使用目的以外はあまり恩恵のなさそうな位置づけとなっていると思います。

500g 以下の例えば緊急用のシェルター、そして500g~1kg までのビィビィ、さらに1キロ前後の軽量テントという重量での区分けでもビィビィは微妙にその存在意義を狭めている様に思います。


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